幻覚
日記
夜中に父と母の声がする。
母が「見知らぬ男が懐中電灯で顔を照らして逃げた」と
父を起こしたらしい。
「バカなことを言うんじゃない」
父は大きな声で怒鳴った。
母は時々幻覚を見るようになった。
髪の長い女、子供、若い男…
父はそのたびに大きな声で怒鳴っていた。
物忘れや同じ話の繰り返し、幻覚と母の病状は確実に進行していった。
父は思うままにならない現実に戸惑い苦しむようになった。
母は父より6歳年下だ。
よもや自分が面倒を見ることになるなど想像もしていなかったようだ。
「もうおしまいだ」
父が大きな声で吐き捨てるように言った。
母が「見知らぬ男が懐中電灯で顔を照らして逃げた」と
父を起こしたらしい。
「バカなことを言うんじゃない」
父は大きな声で怒鳴った。
母は時々幻覚を見るようになった。
髪の長い女、子供、若い男…
父はそのたびに大きな声で怒鳴っていた。
物忘れや同じ話の繰り返し、幻覚と母の病状は確実に進行していった。
父は思うままにならない現実に戸惑い苦しむようになった。
母は父より6歳年下だ。
よもや自分が面倒を見ることになるなど想像もしていなかったようだ。
「もうおしまいだ」
父が大きな声で吐き捨てるように言った。