師走

面会に行くと母は眠っているのか目を閉じている。

おーいおーいと何度か揺すってみるとうっすら目を開けた。
眠たいの?と聞くと「あっちこっち行ってたからなぁ」「疲れたわぁ」と母。
妄想の中で母も師走を迎えているのだろうかとふと思う。
この病院では爪切りや耳掃除をしてくれるのかとずっと待っているのだが耐えきれず爪はせっせと切っている。
耳はほとんど見ていなかったのでちょっと拝見したところうわうわうわうわ～という状態になっていたので掃除をしてやった。
自宅にいる頃も溢れそうな耳垢に気づき慌てて病院に連れて行ったことがある。
気にならなくなるのかわからなくなるのか。
まったく困ったものだ。
耳掃除をしてやっても礼の一つもない母だが少しでも気持ちよく新年を迎えられたらそれでいいのだ。


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